欧州医薬品庁(EMA)は、EUにおける医薬品の安全性・有効性・品質を評価し、承認プロセスや安全性監視を支える中核的な機関です。この記事では、EMAの基本的な役割や、EUで医薬品の販売承認を得るための仕組みについて解説します。欧州市場への参入を検討している企業にとって押さえておきたいポイントをまとめていますので、参考にしてください。
欧州医薬品庁(EMA: European Medicines Agency)は、欧州連合(EU)域内で医薬品の安全性・有効性・品質を評価し、その情報をもとに承認や安全対策に反映させる役割を担う機関です。ヒト用医薬品だけでなく、動物用医薬品についても評価・監視を行い、EU域内における医療の質と安全性を支えています。
特に、EU全域で共通の販売承認を行う「中央審査方式」において、EMAが提出されたデータを評価し、その結果に基づき欧州委員会が承認可否を決定します。バイオ医薬品やがん領域、希少疾病用医薬品など一部の製品では、この中央審査手続きが義務づけられており、EMAの評価プロセスを経ることが欧州市場参入の前提となっています。
製造面では、EU域内および第三国の製造施設に対し、EU GMP(適正製造基準)に適合しているかを各国の規制当局が査察・評価します。EMAは、GMPに関するガイドラインや運用の調整、加盟国間の情報共有を行うことで、EU全体で一貫した品質水準を保つ役割を果たしています。
欧州医薬品庁(EMA)は、EU域内で医薬品の販売承認申請を科学的に評価する中核機関です。提出された臨床試験データ、品質情報、安全性データをもとに、EMAの「人用医薬品委員会(CHMP)」が医薬品の有効性・安全性・品質を審査し、承認の可否について科学的意見(opinion)を作成します。
なお、販売承認の正式決定はEMAではなく、欧州委員会(European Commission)がCHMPの意見を踏まえて行います。標準審査は最大210日ですが、追加情報の提出が必要な場合は審査期間が一時的に停止される「クロックストップ」が設定されます。また、公衆衛生上の緊急性が高い医薬品や重要な革新的治療薬については、申請者が適切な根拠を示すことで、150日で審査する「加速審査(Accelerated Assessment)」が適用されることがあります。
中央審査方式(Centralised Procedure:CP)は、EMAによる評価を経て欧州委員会が承認を行うことで、EU全加盟国で一括して販売承認を取得できる制度です。企業はEMAに1回申請するだけで、EU全域で共通の承認が得られるため、国際展開を狙う製薬企業にとって極めて効率的な仕組みです。
また、バイオ医薬品、がん治療薬、希少疾病用医薬品など、特定の領域ではCPの利用が義務化(mandatory)されています。これらの領域では、EMAの評価プロセスを経ることが欧州市場参入の前提となります。
分散審査方式(Decentralised Procedure:DCP)は、複数のEU加盟国で同時に販売承認を取得するための手続きです。企業は1つの加盟国を「参照国(RMS)」に選び、まずRMSが申請データの評価を行います。その後、他の加盟国(CMS)がRMSの評価内容を検討し、合意形成ができれば各国で個別に承認が下りる仕組みです。
DCPは、中央審査方式(CP)が必須でない医薬品や、特定の国の承認を優先する場合に利用され、複数国の承認を効率的に取得できる手続きとして活用されています。
欧州医薬品庁(EMA)は、EUで承認された医薬品の安全性を継続的に監視する役割も担っています。その中心となるのが「薬剤安全性リスク評価委員会(PRAC)」です。PRACは副作用報告、使用実態データ、臨床情報などを分析し、安全性上のシグナルを検出・評価します。
EMAは、EU全域の副作用情報を集約する「EudraVigilance」システムを運用し、加盟国規制当局とともに迅速なリスク管理を実現しています。また、企業や加盟国が遵守すべき「良好な薬剤安全性監視実践(GVP)」ガイドラインを策定し、EU全体で監視体制の標準化と品質確保を促進しています。
このように、EMAは承認後も医薬品の安全性を厳密に監視し、健康を守るための重要な役割を果たしています。
EMAは、医薬品を安全かつ適切に使用できるよう、医療従事者や患者に向けて最新の科学的情報を提供しています。承認済み医薬品の有効性やリスク、副作用情報、使用上の注意、ガイドラインなどを公表し、EU内の医療現場での情報共有と透明性を確保しています。
EMAの公式サイトや公表資料を通じて、医薬品に関する信頼性の高い情報が一般公開されており、安全な医療の実現に貢献しています。
EU加盟国がそれぞれ自国の市場向けに独自に運用している承認制度が「国家認可手続き(NP)」です。中央審査方式(CP)や分散審査方式(DCP)の対象外となる医薬品について、申請企業は各国の医薬品規制当局へ個別に申請し、その国の基準に基づく品質・安全性・有効性の評価を受けます。
この手続きでは、提出資料の要求事項や審査期間が国によって異なる場合があり、承認が得られても効力はその国のみに限定されます(注釈:後から相互承認方式へ移行し他国展開をはかることは可能)。
CDMO(受託製造業者)にとっては、申請先の国で販売するために必要な承認を取得することに加え、当該国の規制当局によるGMP査察や製造所認定に適合することが、市場アクセスの前提条件となります。
欧州医薬品庁(EMA)は、EU域内における医薬品の評価・安全性監視・情報提供を担う中核機関であり、中央審査方式(CP)や分散審査方式(DCP)、さらに各国が運用する国家認可手続き(NP)を通じて、EU全体の医薬品承認制度を支えています。
EU市場での製品展開には、EMAの審査プロセスおよびEU-GMPに準拠した製造体制を整えることが不可欠です。各国の承認制度や適用される規制を正確に理解することで、よりスムーズな市場参入が可能になります。
EU参入には専門的な対応が求められるため、医薬品製造・申請に精通したCDMOを活用することは効率的な選択です。以下のページでは、おすすめのCDMOを紹介していますので、あわせて参考にしてください。
錠剤・カプセルが主の化学合成医薬品や、注射剤・点滴剤が主のバイオ医薬品など、CDMOによって製造できる医薬品に違いがあります。ここではそれぞれのおすすめCDMOについて詳しくご紹介しています。ぜひ自社の開発工程に合った依頼先にお問い合わせください。

| 製造能力 |
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| 錠剤:36億錠/年 細粒・顆粒剤:900t/年 ※ |

| 製造能力 |
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| 公式サイトに記載なし |

| 製造能力 |
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| チューブ:5,500万本 ボトル:2,000万本※ |